地方の不動産を考える。家は所有と賃貸どちらが得か?
この問いについて、どちらが得かいう議論はいろんな視点から語られますが、経済学の視点からすれば、持ち家と賃貸の違いは不動産投資のリスクを取るかどうかにあると言えます。
持ち家の場合ですと、不動産価格が上昇すれば、購入した不動産価格と売却した不動産価格との差額である売却益を手に入れる一方で、不動産価格が下落したり、地震や災害といった想定外の出来事で、不動産が本来持っている価値を失ってしまうと、その損失はすべて個人にふりかかってきます。
他にも近所に迷惑な施設が出来たり、また、近所の住民トラブルといったことが起こらないとは限りません。
これに対して賃貸の場合は、この不動産を所有するリスクを家主が負担しています。
地震で借りているマンションが半壊して住み続けることが困難な場合、契約を解除して他の賃貸物件を探せばこと足ります。
賃貸より持ち家が得と言われているのは、持ち家はリスクが高いのですが、そのリスクを負担する以上にリターンが大きいからです。
逆に言うと、高いリターンが期待できるので、リスクも大きくなるということです。
こう考えるとマイホームはハイリスクな投資となりますが、これまで、なぜ「もっとも安全な投資」とされていたのでしょうか?
詳細な考察は別の機会に譲りますが、日本の地価の推移が大きく影響しています。
日本の地価は1980年代中頃まで、年率にして15%の上昇をしていました。
これに2倍、3倍のレバレッジをかけて資産を運用すれば、年率30%、50%の運用利回りが得られることが可能だったのです。
多少、無理をしててでも住宅ローンを組み持ち家を取得すれば、地下が上昇し続けていたので、不動産価格の上昇により、買い換えを進めていくことで、個人でも資本を増やすことが可能な時代でした。
しかしその後、1990年のバブル崩壊で地価は急落、2005年にはバブル時代の最高値から1/4まで縮小してしまったのです。
「所有すれば儲かる」という日本の不動産神話が崩壊して以降、マイホームはリスクが高いだけの投資物件となっています。
地価が上昇している時代は不動産は購入すれば儲かることから、マイホームを持つ理由を説明する必要がありませんでした。
バブル崩壊以降は不動産リスクが顕在化して、これまでとは状況が一変したのですが、どういうわけか「家賃を払うより持ち家」という論理が浸透しているのです。
住宅ローンを払い続けている限り、不動産のリスクは顕在化しませんが、特定の不動産に全てをつぎ込むというのはハイリスクな選択でした。
このリスクを負い耐え残ってきた地方の物件ですが、現在は行き先が無く処分に困るものも多くあります。
持続可能な社会を考えるにあたって、過去を紐解き、地方の現実により良い変化を起こすことができればと考えているこの頃です。
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